思い出を保存する和風住宅 2025.4.30

こんにちは。池上和宏です。


久しぶりのブログ更新をします。

最近は、リフォームの仕事も企業様の大規模な改修案件を担当したり、


新築の設計も幅広く対応させていただいております。


今回ご紹介する案件は、首都圏で新築させていただいたT様の和風住宅です。

こちらのお宅は、空き家となった実家を取り壊し、小さな平屋の別荘に建替えました。


T様が戦時中疎開していた頃は、周辺に3件程しか建物が無く、幼少期を過ごした思い出の場所でした。


今では駅が近く都心まで30分程の立地のため、周囲は住宅が犇めき合うエリアで長閑な雰囲気はありません。













諸事情で赤のラインで敷地が分割されたため、立派な日本庭園を可能な限り残せるよう建物の計画を行いました。

駅近により歩行者が比較的多い路地に面しており、 建物のファサードは プライバシーに配慮する必要性がありました。


また、バリアフリーを意識した計画とするため、緩やかなスロープと格子がアクセントになる建物デザインにしました。

既存の門からのアプローチ

洗出しの床と化粧垂木が美しい玄関アプロ―チ

T様の希望で、玄関框には杉の丸太を使用。


床板には既存家屋の床板を削り直し、新しい板として蘇らせています。

天井も既存家屋の天井板をデザインし直し、移設しました。

和室にはT様の家紋を入れた欄間と昔ながらの雪見障子

天井板と竿縁をあえて平行にした、珍しい竿縁天井など、既存の和室の設えを再現しました。

床の間には北山杉の床柱、鉄刀木(タガヤサン)の床框

天窓の光が入る明るいキッチンは、友人や家族が集まると利用するため、皆での支度がし易いよう、玄関から直ぐにアクセスできるよう計画しています。

ご家族や友人が集まる場として利用しやすいように、居間と和室は続き間にしています。

廊下には名栗加工を施したオーク材を使用

手洗い場には清掃のしやすい和柄のパネル素材をチョイス

玄関の様子がちょっと覗える黒竹がアクセントの小窓

気密性や、断熱性能が高い昨今の住宅仕様をベースに、随所に和の趣きを凝らしました。

既存家屋の思い出と、先代から引き継いだ庭を愉しめる建物になり、T様にも大変喜んでいただくことが出来ました。