こんにちは。小山卓也です。
今日は京町屋の手摺についてお話したいと思います。
町屋の特徴といえば、第一に「格子」をあげられる方が多いのですが、
京町屋はとくにそのバリエーションの豊かさが通りを彩り
独特の町並みを形成してきました。これらの格子は表構えのデザイン性だけでなく
いくつもの機能性も兼ね備えていました。
格子の種類には、出格子(台格子・釣格子)、平格子があり
形状としては親子格子、切子格子、板子格子、細目格子、目板格子といった
さまざまな種類があるのですが、それぞれ基本形態をふまえた上で
京町屋格子の特徴として、第一にあげられるのは
格子は、その形や様式によってその店の職業を表現していたということです。
たとえば、酒屋の格子は酒樽がぶつかっても壊れないような
太くて頑丈な作りに。
湯葉、豆腐、こんにゃくなど水を使う店の麵屋格子の内側の格子には
塗れても大丈夫なように油紙が使われていたり。
京都に精通している方は格子のピッチや特徴を見ただけで
何のお店なのかわかるということですね!
今回は糸屋格子の中でも、採光率や他とのバランスを考え
親格子1本、子格子2本の呉服屋切子格子をご提案させていただきました
その間隔は、図面で検討し実物を現場に配置。
現寸でボリューム、微妙なバランスを確認して
制作に入りました。
住みながらの工事に入っていたので、吹き抜けに隙間なく作業床を設けて
入念に養生していよいよ工事スタート!
まず、全体の墨を出していき、框にほぞ穴を掘っていきます。
端から親格子戸と横つなぎを組んでいきます。
親格子と横つなぎを終えると
子格子を組み入れていきます。その数120本!
しびれましたね~
笠木を取付後、丹精込めてさわり心地の確認をしていきます。
最後に親柱の形状も整えて完成です
日中リビングから見上げると、ホタテパウダーの白と梁と手摺の黒のコントラストが
静かな空気を作りだしています。
夜のライティングによって、光と影が映し出されいい感じです
呉服屋格子の回廊手摺が完成しました!
次回は各所のこだわりをお伝えしようと思います。