この住宅では和の要素を活かし、日本古来の建築様式の
現代的解釈を試みています。
大きな特徴としては木に拘り多様な樹種を使用している事と、ブログタイトル
にもあるように室内の塗装に一部漆を使用している事です。
漆の語源は「麗し(うるわし)」とも「潤し(うるおし)」ともいわれ、耐久性に
富み独特の艶が魅力です。
遥か昔から私達の祖先は、漆の固化膜の特性である独特の美しさや、酸や熱・
アルカリにも壊されることが無い強靭さを利用して造形素材や塗料、接着剤等に
使用してきました。現在発見されている漆を使用した最古の製品は、約9000年前
の装飾的な衣服の一部に漆塗りが施されています。
欧米では漆器をJapanと呼ぶことからも判るように、
日本の特産品と考えられています。
現代では科学合成塗料が主流となり、新しく建設している一般住宅での使用
は珍しくなりましたが、少し前の日本では玄関や客間等の床や壁、棚や柱、建具
の縁などに漆仕上げが使われている住宅は今よりも多かったように思います。
漆仕上げの特徴は、木目がはっきり浮き出た深みのある表情です。
特に広葉樹は、漆を塗って仕上げた良さが分かりやすい材です。
拭き漆を施すことでその空間の格が数倍あがるほど豊穣感が漂うので、
ご興味がある方は一度実物を見て頂けたらと思います。
一度固化すると燃えないので(灰皿の塗装にも使用される程)趣味の美術品の
収納部屋では、床・壁を漆で仕上げています。
引き続き、漆仕上げの空間をご紹介していきます。