「漆×現代建築」玄関ホールです。
ホールから玄関を見る。
壁は鹿児島県の姶良カルデラの大噴火によって発生した火砕流の堆積物、
シラスで塗り、框に床、式台には欅の無垢材を使用、拭き漆で仕上げて
あります。
この様に天然素材をふんだんに使った内装は、最近の住宅では見る事が
少なくなりましたね。
ご趣味で集められている美術品の背景としても、「本物」の素材が持つ
存在感で、装飾の魅力を更に増して見せてくれています。
お施主様の拘りは、「木」です。
木の持つ圧倒的な存在感を存分に感じたいと仰り、更にはありきたりの見
せ方ではない物をお望みでした。
頂いたご依頼その①の「玄関に置き型の照明器具」
ご提案させて頂いたのが、こちら。
吉原木工所さんオリジナルデザインの照明「しずく」。
国産の檜を使用し、曲げ組子を用いたシンプルなデザインから零れ落ちる光
がとても魅力的です。
通常製作されている寸法はW275/H650/D135。
この玄関ホールに置くにはやや小さいので、曲げ組子で作成可能なサイズを
相談しながらサイズを調整。高さは1000㎜まで伸ばし、幅も調整。
この空間における主役は内装材と美術品の共演、なので照明は曲げ組子と光
のみとしたく、当時の「しずく」にあった脚も無しの特注でオーダーさせて
頂きました。
廊下ブラケットは
吉原木工所さんの「風」を。
これも実は特注品なんです。
ふすまの向こうに続く客間は欅、地松、杉と多くの木材を使用し意匠的にもと
ても見応えのある空間です。続く廊下は玄関ホールから欅の漆仕上げ。
廊下の欅と同材の様に見せて、素材が主張しないようにと引き算のインテリア
を考えていました。
通常は檜で製作しているこの照明をタモ材で作成して頂き、床の端材を送って
仕上げの色を合わせて頂きました。
タモ材で曲げ組子は初めて、との事だったので製作可能かの検討の時間も入れ
て、打ち合わせも慎重に。
お陰様で実際に見てみると、客間の豪華さを引きたてつつ、灯りの存在感も上
手く共存できたのではと思います。
組子職人であり、デザイナーでもある吉原さん。
この照明は吉原さんがデザインしたものです。作品のデザインを空間に合わせ
て変えて欲しいと相談をする事、本当は少し悩みました。
ですが、相談に対して出来る限りオーダーに対応しています、と応えて下さり
上記の形で実現しました。
より良くしたい、との相談に一緒に取り組んでくれた吉原さんの柔軟な姿勢の
お陰で、
「ある物を納める提案」
ではなく
「より空間に合わせた提案」
が実現できたと思っています。
本当にありがとうございました。
前回UPした外観写真で、全体の雰囲気は伝わったでしょうか。
今回は邸内にちりばめられた組子細工の数々を、ご紹介します。
玄関ホールの置き照明。
特注サイズで、脚のデザインも変えて作って頂きました。
広がる光と影が、大変美しいですね。
廊下には、
ブラケット照明、「風」を。
櫛引の壁によく合います。
一番の大物は、組子障子と欄間。
普通の障子ではない物を、とご依頼を受け職人さんと相談し提案しました。